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岩波写真文庫155 / 空から 富士をめぐる / 岩波書店 / 1955年発行 / 130x185mm / 64ページ / ソフトカバー / 1,000円+100円=1,100円
※状態、カバー角端に少スレ&背に少ヤケはございますが、他に目立つダメージはございません。
●内容、
岩波写真文庫(いわなみしゃしんぶんこ)とは、岩波書店が1950年代に出版していたテーマ別写真集叢書(カラー写真は使われていない)。編集長は名取洋之助。1980年代以降度々復刻版が出されています。
はじめに
日本民族にとって富士山の記憶は、民族そのものの歴史とおなじくらいに古い。万葉の昔から北斎、広重の近世まで、富士山は数知れない歌によまれ、絵の題材となった。江戸の正月が、まず遙か西の空に富士を仰ぎ見ることではじまったころに比べれば、今日の日本人は、富士山を多少忘れがちになっているといってよいかも知れない。それでも、町を歩いているときに、ふと真白い雪にかがやく富士が、行く手はるかに現われたりすると、その一日は、何かよいことでもありそうな期待に、心のときめく思いがする。そしてまた、夕ぐれどき、丹沢箱根の山波の向うに、夕日を背にして真黒く浮び上っている富士を見れば、混雑と騒音と雑事とに追いまわされた一目の疲れも忘れてしまうのである。富士山は、現代人の生活の中にもたしかに生きているという証拠である安と動揺の中で、人は安定を求める。激動と流転人をかって不変なるものを求めさせる。安定という点において、また不変なることにおいて、富士に及ぶものは少いといっていいだろう。今日の日本人が富士山に心をよせるとしても、それは不思議なことではない。かつての日本人に喜びと慰めとを与えたように、富士山は今日でもなお、多くの人々に希望と激励とを与えている。少くとも、日本人の自然に対する考え方について、富士山が、現代においても、無視できないような役割を演じているということは、はっきりいえるのではないだろうか。
目次
雪崩/東からみる/南からみる/西からみる/富士五湖/富士山麓/登山道/山頂/宝永山/再び山麓